若年層と高血圧

若年層と高血圧

高血圧は、かつては中高年層に多いとされていましたが、最近では若年層にも増加傾向にあることを皆さんはご存知ですか。現代の若い世代は不規則な生活習慣やストレスが原因で高血圧のリスクが高まっているのです。若いからと油断をせず、今から血圧の管理の仕方について知識を付けていきましょう。

今回は若年性高血圧の主な原因、生活習慣の見直し、ストレス管理、そして血圧計を用いた血圧管理について解説します。

若年性高血圧とは


若年性高血圧とは、20代から35歳以下の年齢で収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90以上の高血圧のことを指します。この年齢層では健康診断などで偶然発見されることが多いです。
なぜなら高血圧は「沈黙の殺人者」と呼ばれているほど自覚症状が少なく、気づかないままでいることが多いからです。症状が現れた時にはすでに高血圧が進行しているサインかもしれません。そして、それを放置すると動脈硬化を引き起こし心臓病や脳卒中などの重大な疾患リスクを高めるため注意が必要なのです。

-若年性高血圧の主な原因

主な原因は大きく分けて2つあります。1つ目は遺伝や生活習慣によるものです。例えば以下のような事が挙げられます。

・遺伝的要因 ・不健康な生活習慣 ・BMIが25以上の過体重、または30以上の肥満 ・ストレス

現代の若者が不健康な生活習慣に陥りやすい背景として、忙しい日々の中で手軽に利用できるファーストフードや加工食品の普及、そして運動不足が挙げられます。特に、スマホやパソコンの使用時間の増加は運動する時間を減らしてしまっているのです。
また、ストレスの原因は様々ですが、その中でも仕事のプレッシャー、学業の負担、人間関係の問題が主な要因です。これらのストレスは、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンの過剰分泌を引き起こし、結果として血圧を上昇させ高血圧のリスクを高めることが知られています。
2つ目は他の健康問題によるものです。若年性高血圧では20〜30%を占めるとされており、こちらは以下のような病気が挙げられます。
腎臓の病気:腎臓は血液の余分な塩分や水分を取り除く役割があり、これが上手く機能しないと血圧が上がります。
ホルモンの病気:特定のホルモンが正常よりも多く、または少なく分泌されると血圧が上がることがあります。
睡眠時無呼吸症候群:睡眠中に呼吸が繰り返し停止する病気で、これにより夜間の血圧が上がります。
若年性高血圧を予防するには、まず生活習慣か他の病気が原因かをはっきりさせることが重要になります。これを確かめる一番良い方法は、やはり定期的な健康診断や医師の診察を受けることです。

-生活習慣の見直しとストレス管理

基本的には若年性高血圧の予防と管理の仕方は「高血圧と生活習慣の改善」でお伝えした内容と原則共通しており、食生活の見直し、適正な体重の維持、適量の飲酒、そして栄養バランスの取れた食事などの生活習慣の見直しとストレス管理が効果的です。
しかし、若年性高血圧においてはさらに特定のライフスタイルや行動パターンに焦点を当てたアプローチが必要になります。

-エネルギー摂取量の管理

自分の体が日々の活動で消費するカロリーに合わせて、食べる食事のカロリー量を調整することです。それに伴いまずは自分の適正体重とBMIを知ることから始めましょう。体重の変化はエネルギー摂取量と消費量のバランスを反映します。
また、肥満は高血圧のリスク要因であるため体重管理には特に注意が必要です。若年層の健康的なBMのI範囲は18.5〜24.9とされています。最近の体重計はアプリと連携してBMIや体脂肪率、基礎代謝量なども測定できるので気になる方は是非試してみてください。

-糖分の摂取制限

エナジードリンク、炭酸飲料などの高エネルギー飲料やインスタント食品、スナック菓子などの糖分が高い食品の過剰な摂取は避けるべきです。若年層には特にこの傾向が見られることがあるため注意が必要です。

-ライフスタイルの特性に注目

現代の若者は外食やファーストフードの利用が多い傾向にあります。また、偏食、夜勤などによる食事時間の乱れについても指摘されています。なるべく自炊を増やし、食材の選択から食事の準備まで健康的な選択を心がけることが大切です。

-ストレス管理

趣味を持つことはストレス解消に非常に有効です。読書、絵を描く、楽器を演奏するなど、自分が楽しめる活動を見つけましょう。友人や家族との社交活動も重要です。人とのつながりは精神的なサポートとなり、ストレス軽減に役立ちます。
そして、質の良い睡眠はストレス管理に不可欠です。スマホの操作は就寝2時間前までにやめることが推奨されています。就寝の約90〜120分前に入浴をしたり、ストレッチや暖かい飲み物を飲んだり、自身がリラックスできる行動を習慣づけましょう。
注意点として、これらの予防方法やストレス管理技法は、人によって効果の出方が異なります。自分に合った方法を見つけ、無理なく続けることが重要です。また、既に高血圧である場合は、医師の指導の下で適切な生活習慣の改善を行ってください。

-血圧計を用いた血圧管理

自宅での血圧管理には、血圧計が非常に有効です。定期的に血圧を測定し、記録することで自分の血圧の傾向を把握しやすくなります。異常値を早期に発見できれば適切な対応をとることが可能ですので、定期的な血圧管理を習慣づけていきましょう。

因みに血圧が日によって変わるのは正常な現象で、収縮期血圧135mmHg、拡張期85mmHgが正常ですが、日中の変動で10〜20mmHgの変化は一般的です。しかし、140mmHg以上が続くと高血圧の疑いがあります。特に夜に高い血圧は、睡眠時無呼吸症候群や心臓・腎臓の問題のサインかもしれません。一方、昼間だけの高血圧は、ストレスが関係している可能性があります。
正確な測定ができて自動で血圧測定を行いたい場合は、上腕に巻くタイプの「上腕式血圧計」がおすすめです。使い方に不安がある場合は是非お気軽にご相談下さい。


まとめ

高血圧は生活習慣の改善や適切な治療により管理することは可能ですが、一度なってしまうと完全に「治る」病気ではないとされています。だからこそ、若いうちから血圧を健康な状態に保ち続けることが大切なのです。生活習慣の見直し、ストレス管理、そして血圧計を用いた血圧管理を通じてリスクを減らすことが健康な未来への鍵となります。