環境因子と高血圧

環境因子と高血圧症

水質汚染、大気汚染、温暖化、異常気象など地球環境は変化し続けています。しかし、血圧に着目したら、すべての環境因子が血圧に関係するかというとそういうわけでもありません。少し見ていきましょう。


-水質汚染の影響は少ない

まずは水質汚染からです。昭和末期生まれの筆者からすると、令和の水質はずいぶん改善されたなという印象が強いです。もちろん、地球環境全体の水質は悪化しているのかもしれませんが、自分の身の回りの水質は明らかに改善しています。

というのも、小学生のころなど川のほとりを歩いたら、ヘドロのにおいが鼻を衝いてとても臭かったのを覚えています。つい最近のニュースでは、道頓堀(ヘドロのにおいがとても強かったです)にアユが泳いでいるそうです。明らかに都市の水質は改善していると思います。

ただ、水質汚染の影響は血圧には特にありません。もちろん、重金属などに汚染された水源や生物濃縮により、水俣病などの深刻な健康被害をもたらすことはあります。しかし、血圧にはほぼ影響がありません。

なぜかというと、血圧を上昇させるためには血管を収縮させるか血液量を上昇させるかの2つしか方法がないからです。血管収縮薬が高濃度で水源に紛れ込んでいるというのならいざ知らず、そういうことは自然界では起こりえません。また、血液量を増やす一番の原因は塩分の過剰摂取ですが、味覚は塩分に対してかなり鋭敏なので、自分が知らない間に過剰な塩分を水源から摂取しているということも考えられません(海水でさえ塩辛すぎてガブガブ飲むことは不可能です)。

なので、水質汚染は健康そのものに対しては大きな脅威ですが、こと血圧に限って言えば影響はほとんどないと考えられます。

-大気汚染の影響も軽微である

次は大気汚染です。これは、水質汚染に比べたら血圧に少し影響がありますが、大勢に影響はありません。つまり、大気汚染も高血圧の原因としてはかなり影響力が弱いといえます。

大気汚染も昭和末期生まれの筆者からすれば、かなり改善されているように感じます。小学生の時は、しょっちゅう光化学スモッグで外に出たらだめだといわれましたし、尼崎をはじめとした公害で喘息も発生していました。

もちろん、中国の経済発展に伴いPM2.5をはじめとした汚染物質などは飛来しているようですが、それでも校庭に飛び足した瞬間、目や鼻やのどが痛くなって気分が悪くなるという光化学スモッグをどうしても思い出してしまいます。それに比べたら、PM2.5をはじめとした汚染物質は健康に悪影響はあるのでしょうけど、実感に乏しい感じがします。

それはさておき、大気汚染は健康には確実に悪影響がありますが、血圧を上昇させるかというとそうではありません。大気汚染の影響で、夜咳が止まらず寝不足になっている。というのであれば、血圧の上昇をきたす可能性はあります。しかし、それはあくまで間接的な影響です。

直接的に、大気汚染が血圧の上昇をきたすかというとほとんど可能性はないと思われます。例えば、喫煙は動脈硬化を直接的に引き起こすので血圧を上昇させます。しかし、想像してみてください。たばこの煙レベルの大気汚染というのは、ちょっとあり得ないと思いませんか。

なので、大気汚染は間接的に血圧を上昇させることはありますが、直接的には高血圧の原因となることはないと思われます。


-温暖化などの気象変化は影響が少なからず存在する

次は、温暖化や異常気象などの気象変動です。こちらは、高血圧に影響を少なからず及ぼすと思われます。昔に比べたら、夏が暑かったり、冬が暖かかったりすると感じている人は多いのではないでしょうか。

実は血圧は周りの気温に大きく左右されます。寒い冬のほうが、夏に比べて血圧は概して高くなります。その原因は、血管が収縮して細くなるからです。これは直感的に理解できるのではないでしょうか。もし外気温が低い時に血管が収縮しなかったら、体温がどんどんと奪われてしまいます。凍死してしまってはかなわないので、人間は頭で考えることなく血管を収縮させ体温が奪われないようにします。このことによって、血圧が上昇しやすくなるのです。

ということは、温暖化は血圧にとってはよい影響を及ぼしていることがわかります。冬が寒くなくなってきているわけですから、血圧は氷河期のような寒い環境に比べて下がりやすくなっているわけです。

ただ、温暖化は地球環境に悪いのは言うまでもありません。また、異常気象を引き起こす原因ともなっています。異常気象と言えば、線状降水帯のような大雨をきたすものを想像しがちですが、それだけではありません。急激な温度変化なども異常気象なのです。

人間は急激な環境変化に弱い生物です。お風呂とかでも、はじめ浸かったときは熱いなと感じても、ずっと浸かっていると慣れてくるという経験はあると思います。気温に関しても同じで、ずっと寒いというのはむしろ体にはそこまで影響はなくて、急激に寒くなる、もしくは暖かい室内から急に寒い外に出るというような、急激な環境変化が人体に大きな影響を与えます。なので、温暖化に伴う異常気象は血圧に対して悪い影響をもたらす可能性もあるわけです。




まとめ

水質汚染や大気汚染は地球環境には非常に悪影響をもたらしますが、血圧に対する影響はほとんど存在しません。温暖化は血圧に対してはむしろ好影響ですが、急激な気象変化は高血圧症に対して悪影響をもたらす可能性があります。

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