開業医の借金はどうする?資金繰りの悪化で倒産しないための5つの対策

開業医の借金はどうする?資金繰りの悪化で倒産しないための5つの対策

「いつかは自分のクリニックを持ちたい」

理想の医療を実現したい。患者さんと長く向き合いたい。スタッフを育て、地域に貢献したい。

そう考えている方もいるかもしれません。

しかし、独立を具体的に考え始めたとき、多くの医師が直面するのが多額の借金という現実です。

開業コンサルタントから資金計画の資料を見せられた瞬間、胸の奥に重たいものを感じたという方もいらっしゃるかもしれません。

本記事では、開業医が抱える借入の現実を具体的な数字で示しながら、資金繰り悪化を招く落とし穴と、それを回避するための対策を解説します。さらに、多額の借金リスクを負わずに「院長」としてのキャリアを実現する選択肢についても紹介します。

開業医の借金のリスクと実態

開業医として独立する際、避けて通れないのが資金調達です。ここでは、多くの医師が直面する借入の現実を、具体的な数字とともに解説します。

開業資金の相場

クリニックの開業資金は、診療科目、診療内容、立地、物件の状態、導入する医療機器の種類によって大きく変わります。特に、検査機器や画像診断装置、リハビリテーション設備などをどの程度そろえるかによって、初期投資額は大きく増減します。

たとえば、一般内科のようにテナント開業を前提とし、基本的な診察室・処置室・電子カルテ・レセプト関連システムなどを中心に整備する場合と、整形外科やリハビリテーション科のようにリハビリ機器や広いスペースを必要とする場合では、必要な設備投資額は同じではありません。

また、眼科や耳鼻咽喉科では専門的な検査機器が必要になりやすく、脳神経外科や放射線科など画像診断を重視する診療科では、CTやMRIなど高額な医療機器の導入が資金計画に大きく影響します。

そのため、開業資金を考える際は、「内科ならいくら」「整形外科ならいくら」と一律に見るのではなく、診療に必要な設備、内装工事、情報システム、採用・研修費、広告費、そして開業後しばらくの運転資金まで含めて試算することが重要です。

調査によると、企業全体の開業費用は平均975万円、中央値600万円とされています。

2025年度新規開業実態調査 | 日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_251205_1.pdf

これに対して、クリニック開業では診療体制を整えるための設備投資や運転資金が大きくなりやすく、開業前の段階で精度の高い資金計画を立てることが欠かせません。

なぜ多くの医師が多くの借り入れからスタートすることになるのか

クリニックを開業する際には、上で述べたようにさまざまな初期費用が発生します。さらに、開業直後から家賃、人件費、医薬品・消耗品費、リース料などの固定費も継続的にかかります。

日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要となる資金として、「設備資金」と「運転資金」が明記されています。

新規開業・スタートアップ支援資金 | 日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html

つまり、開業資金を考える際は、医療機器や内装などの初期投資だけでなく、開業後の経営を維持するための運転資金まで含めて計画する必要があります。

自己資金が少なくても融資は可能?審査で重視される3つのポイント

クリニック開業では、自己資金だけで開業費用をすべて賄うのではなく、金融機関からの借入を組み合わせて資金計画を立てるケースが一般的です。

ただし、自己資金が少なければ少ないほど、金融機関は事業の継続性や返済可能性を慎重に確認します。

融資を受けるためには、単に「医師だから信用される」と考えるのではなく、事業として成立する根拠を具体的に示すことが重要です。

特に重視されるのは、次の3点です。

① 現実的な事業計画
開業予定地の診療圏、想定患者数、診療単価、売上見込み、固定費、人件費、借入返済額などをもとに、無理のない収支計画を作成する必要があります。希望的観測ではなく、数字に基づいて返済可能性を説明できる計画が求められます。

② 開業の動機と事業の目的
日本政策金融公庫の創業計画書では、「創業の動機」を記載する欄が設けられています。クリニック開業においても、「なぜその地域で開業するのか」「どのような医療を提供するのか」「地域の患者にどのような価値を届けるのか」を明確にすることが大切です。

創業計画書 | 日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf

③ 経験・専門性・経営体制
創業計画書には、経営者の略歴や取扱商品・サービス、取引先、従業員、必要な資金と調達方法、事業の見通しなどを記載する項目があります。医師としての経験や専門性に加え、スタッフ体制、外部専門家との連携、資金繰り管理の体制なども、事業の安定性を示す材料になります。

創業計画書 | 日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/kaigyou00_190507b.pdf

総じて自己資金、借入金、設備投資、運転資金、返済計画を総合的に見直し、無理のない開業計画を立てることが重要です。

せっかくの独立が「借金地獄」に?資金繰りが悪化する3つの主な要因

帝国データバンクの調査によれば、2024年の医療機関の倒産件数(64件)、休廃業・解散件数(722件)はともに過去最多を更新しました。10年前(2014年)と比べて2.1倍、20年前(2004年)と比べて5.6倍に増えています。

さらに、倒産した医療機関の6割以上が収入減少を主因とする倒産となっており、背景にはコロナ関連補助金の削減、材料費・人件費の増大、コロナ関連融資の返済開始などがあります。

医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年) | 帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250122-iryoukikan/

「医師だから安泰」という時代は終わりを迎えています。資金繰りが悪化する主な要因を、事前に把握しておくことが重要です。

最新設備へのこだわりすぎによる「過剰な設備投資」の落とし穴

クリニック開業時には、診療の質を高めるために医療機器や院内設備を充実させたいと考える医師も少なくありません。内視鏡システム、超音波検査装置、CT、MRI、電子カルテなどは、診療内容によっては重要な設備です。

しかし、開業初期から必要以上に高額な設備を導入すると、借入額やリース料が膨らみ、開業後の資金繰りを圧迫するおそれがあります。

特にCTやMRIのような大型医療機器は、導入後の稼働率が低ければ、設備投資に見合う収益を確保しにくくなります。厚生労働省の資料でも、CT・MRIの共同利用や新規購入に関する考え方が示されており、地域での医療資源の有効活用が重視されています。

医療機器の効率的な活用等について | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001071389.pdf

開業直後は患者数や収入が計画どおりに安定するとは限りません。最初から理想の設備をすべてそろえるのではなく、診療に不可欠な設備を優先し、患者数や収益の状況を見ながら段階的に拡充していくことが、過大な借入リスクを抑えるうえで重要です。

診療圏調査の甘さと「競合クリニック」との差別化不足

「駅前だから患者が集まる」「人口が多い地域だから大丈夫」といった見込みだけで開業地を決めるのは危険です。クリニックの経営は、地域の人口構成、患者ニーズ、近隣の医療機関の状況、アクセス環境、診療科の需要など、複数の要素に左右されます。

さらに、近隣に同じ診療科のクリニックが複数ある場合、患者に選ばれる理由を明確にする必要があります。専門性、診療時間、予約のしやすさ、アクセス、対応可能な検査・処置、地域の医療機関との連携など、自院ならではの強みを整理しておくことが重要です。

マネジメント不足による「スタッフの離職」と採用コストの増大

開業医として直面する最大の変化のひとつが「マネジメント」です。病院勤務では「患者に向き合う」ことが仕事の中心でしたが、開業後は「スタッフを育て、チームを動かす」ことが経営の要になります。

万が一、一斉退職が起きれば、採用費・研修費という追加コストが発生し、患者対応の質も落ちます。

受診者が減り、資金余力が無くなった施設は設備の更新ができず、給与・労働条件が悪くなり、スタッフも定着せず、サービス品質が低下し、結果として更なる受診者の減少を招く。このような負のスパイラルが、結果として廃業へと向かうことになります。

借金まみれで倒産しないための5つのリスクヘッジ対策

莫大な負債に押しつぶされず、持続可能な経営を行うためには、開業前からの戦略的な準備が欠かせません。ここでは、実践的なリスクヘッジの方法を5つ紹介します。

① 理想を詰め込みすぎない「段階的な設備導入と採用」の鉄則
スモールスタートは「妥協」ではなく「戦略」です。

開院当初は最低限のスタッフ構成(例えば医師1名、看護師1〜2名、医療事務1〜2名など)からスタートし、患者数の増加に合わせて人員を拡充します。

医療機器も、リースや中古の活用を検討します。

月々の固定費を抑えることで、キャッシュフローの安全域が広がります。

② 最低でも「半年〜1年分」の運転資金を確保しておく重要性
開院と同時に家賃・人件費・リース代などの支出は始まりますが、まとまった収入が入るまでの間、手元資金が底をつけば即座に経営危機になります。

目安として、月間固定費の6〜12ヶ月分程度の運転資金を、融資の中に組み込んでおくことが重要です。

③ 生命保険や所得補償保険を活用した「万一の事態」への備え
院長が病気や入院、死亡した場合、クリニックの経営はどうなるでしょうか。収入が途絶えても、借入金の返済は待ってくれません。

そのためにも、生命保険や就業不能保険・所得補償保険を検討しましょう。

「自分は健康だから大丈夫」ではなく、「万一に備えてこそ、家族を守れる」という発想で、リスクヘッジを設計してください。

④ 税理士・経営コンサルタントとの早期連携
診療と財務・税務・マーケティングは別のスキルです。開業前から、医療機関の経営に詳しい税理士や中小企業診断士を味方につけることで、節税・資金計画・補助金活用などのノウハウを得られます。

「専門家への報酬」は、失敗のコストに比べれば必要な投資といえます。

⑤ 診療圏調査と事前マーケティングの徹底
開業前に行う「診療圏調査」は、経営の生命線です。これにより、予定している場所で開業した場合の1日当たりの見込み患者数を算出しましょう。

診療圏調査の実施 | TKC全国会
https://www.tkc.jp/igyou/start_business/sphere_research/

多額の借金リスクを回避する!「院長職」という第3のキャリア選択

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ここまで読んで、多額の借金は怖いと感じた先生もいるかもしれません。

実は近年、注目を集めている「院長職への就任」という選択肢もあります。

自己資金ゼロ・借金なしで「理想の医療」を実現できるメリット

院長職への就任とは、既存の医療法人やクリニックグループが持つクリニックの院長ポジションに就くことです。新規開業と異なる最大のポイントは、自分で多額の融資を受ける必要がないことです。

建物・設備・スタッフはすでに揃っています。あなたに求められるのは、医師としての専門性・経験・理念だけです。

  • 借入金:なし
  • 連帯保証:なし
  • 経営破綻リスク:大幅に低減
  • 家族への影響:最小限

経営のフロントに立ちながら、医師としての本分も全うできる環境が、院長職には整っています。

笑顔会グループの「強固なネットワーク」が提供する独自の価値

笑顔会グループは、医師のキャリアに特化した院長ポジションの紹介・マッチングに強みを持つ医療法人グループです。

多くの開業支援会社や開業コンサルタントは、「物件を紹介すること」「機器を売ること」「融資の手続きをすること」が本来のビジネスです。一方、笑顔会グループが提供するのは、先生の理念・得意領域・ライフスタイルに合った院長ポジションへのマッチングです。

「この医師に、この場所で、このような医療を実現してほしい」という視点から、先生のキャリアに寄り添ったサポートを行っています。

経営の重圧を分担し、臨床とマネジメントに集中できる環境とは

院長就任後、先生が集中すべきは「診療の質を高めること」と「チームを育てること」です。

採用、給与計算、医薬品の仕入れ、設備のメンテナンス、レセプト業務…。こうした経営事務の多くは、事務長やグループのバックオフィスがサポートします。

勤務医のような上下関係の制約はなく、開業医のような多額の借金リスクもない。そのうえで、院長として地域医療に貢献できる。このような働き方をしてみませんか。

まとめ

借金への恐怖を抱えたままキャリアで悩み続けるのはもったいないことです。

笑顔会グループでは、先生のキャリアと理想の医療についての無料相談を受け付けています。「院長就任が自分に向いているか」「どのような条件のポジションがあるか」を一緒に整理するところから始めましょう。

一度のご相談で、選択肢が大きく広がるかもしれません。

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