医師として開業を考えているものの「開業資金はどこから借りればいいのか」「融資の審査は厳しいのか」「どのくらいの金額を借入できるのか」と悩んでいませんか?クリニックの開業には、一般的に5,000万円から1億円以上の初期投資が必要となるため、多くの医師が金融機関からの融資を検討することになります。
結論から言えば、医師の開業資金の融資先として最も一般的なのは日本政策金融公庫と民間銀行の医療機関向けローンです。日本政策金融公庫は比較的低金利で無担保・無保証人での借入が可能な場合もあり、民間銀行は高額融資に対応できるという特徴があります。また、医師会の開業ローンや信用金庫なども選択肢となります。
本記事では医師が開業資金の融資を受ける際の具体的な選択肢として、日本政策金融公庫と銀行ローンの特徴を詳しく解説します。さらに融資審査を通過するために重要な事業計画書の作成ポイント、自己資金の目安、審査で評価される要素など実践的なコツもご紹介します。これから開業を目指す医師の方がスムーズに資金調達を進められるよう、必要な情報を網羅的にお届けします。
目次
まずは比較から|医師の開業融資、5つの借入先の特徴

医師の開業資金を調達する際、選択肢は一つではありません。それぞれの金融機関には独自の強みがあり、開業医のニーズや状況に応じて最適な借入先が異なります。この章では代表的な5つの融資元について、特徴を比較しながら見ていきましょう。
①日本政策金融公庫|新規開業医の一番の味方
日本政策金融公庫は国が出資する政策金融機関として、新規開業を支援する使命を持っています。医師の開業融資においては、最も利用されることの多い借入先の一つです。
最大の魅力は無担保・無保証人での融資が可能な点にあります。新創業融資制度を利用すれば最大3,000万円まで担保や保証人なしで借入できるため、開業時の負担を大きく軽減できます。金利も年1~2%台と比較的低く設定されており、長期的な返済計画が立てやすいのが特徴です。
審査においては事業計画書の内容を重視する傾向があります。医師としての経歴や専門性、開業地域の医療ニーズ、収支計画の妥当性などを総合的に評価するため、しっかりとした事業計画を準備すれば開業実績のない医師でも融資を受けやすい環境が整っています。
ただし、融資額には上限があり、大規模なクリニック開業や高額な医療機器導入を予定している場合は他の金融機関との併用を検討する必要があるでしょう。
②メガバンク・地方銀行|メインバンクとしての信頼性
メガバンクや地方銀行は高額融資に対応できる資金力と、長期的な取引関係を構築できる安定性が魅力です。開業後の運転資金や設備投資の追加融資、さらには法人化や分院展開といった将来的な事業拡大にも対応してもらえるため、メインバンクとして付き合うことを前提に選ばれることが多い借入先です。
融資額は億単位にも対応可能で、複数の診療科を備えた大型クリニックや最新の医療機器を導入する場合でも資金調達がしやすいという利点があります。また、給与振込や公共料金の引き落としなどクリニック運営に必要な銀行取引を一元化できる利便性も見逃せません。
一方で審査は比較的厳格な傾向にあります。担保や保証人を求められることが多く、自己資金比率や過去の取引実績なども重視されます。特にメガバンクの場合、ある程度の規模や実績がないと融資のハードルが高くなる可能性があるため、開業医の状況に応じて地方銀行との比較検討が必要です。
金利は市場金利に連動するため、日本政策金融公庫よりもやや高めに設定されることが一般的ですが、取引状況や交渉次第では優遇金利が適用されることもあります。
③信用金庫・信用組合|地域密着型の柔軟な審査
信用金庫や信用組合は地域社会の発展を目的とした協同組織金融機関です。メガバンクと比べて規模は小さいものの地域密着型の経営方針により、柔軟な対応が期待できる借入先として注目されています。
最大の特徴は地域の実情に精通した担当者が、親身になって相談に乗ってくれる点です。開業予定地の医療ニーズや競合状況について、データだけでは見えにくい情報も含めて助言をもらえることがあります。また、審査においても画一的な基準だけでなく、個別の事情を考慮してもらいやすい傾向があります。
融資条件も、医師という職業の安定性を評価して比較的好条件を提示してくれるケースが少なくありません。担保や保証人の条件についても、メガバンクより柔軟に対応してもらえる可能性があります。
ただし、融資可能額は金融機関の規模に依存するため、大型の開業資金を必要とする場合は日本政策金融公庫や銀行との併用が現実的な選択肢となるでしょう。
④医師会・医師信用組合|組合員ならではの好条件
都道府県医師会や医師信用組合が提供する開業ローンは、医師という職業に特化した融資制度です。組合員であることが条件となりますが、一般的な金融機関よりも有利な条件で借入できる可能性があります。
医師会の開業ローンは、医療業界特有の事情を理解した審査が行われるため、話がスムーズに進みやすいという利点があります。開業資金だけでなく、運転資金や医療機器の購入資金など用途に応じた融資メニューが用意されているのも特徴です。
金利は会員向けの優遇金利が適用されることが多く、返済期間も長期で設定できるケースがあります。また、医師会のネットワークを通じて開業に関する情報提供や相談サポートを受けられることもあるため、資金調達以外のメリットも期待できます。
ただし、融資額の上限が他の金融機関より低めに設定されている場合があるため、大規模な開業を計画している医師は、他の借入先との組み合わせを検討する必要があるでしょう。
⑤リース会社|医療機器の調達に特化
リース会社は医療機器の導入に特化した資金調達の選択肢です。厳密には融資ではなくリース契約となりますが、初期投資を抑えられるため開業資金の調達方法として検討する価値があります。
医療機器のリースを利用すると、高額な機器を一括購入する必要がなくなり、毎月のリース料として経費計上できます。開業時の借入額を減らすことができ、資金繰りの負担を軽減できるのが大きなメリットです。
また、リース期間終了後に機器を返却すれば最新モデルへの入れ替えもスムーズに行えます。医療技術の進歩が早い分野では、陳腐化のリスクを回避できる点も魅力的です。
一方で長期的なコストで見ると、一括購入や融資を利用した購入よりも総支払額が高くなる傾向があります。また、リース契約は中途解約が難しいためクリニックの経営状況が変化しても柔軟に対応しにくいという側面があります。
リースは融資と組み合わせて活用することで、開業資金全体のバランスを最適化できる手段として検討するとよいでしょう。
融資審査の通過率を上げる事業計画書の3大ポイント

医師の開業融資において、審査の可否を左右する最も重要な書類が事業計画書です。金融機関の担当者は、この計画書を通じて「この開業は成功する見込みがあるか」「貸したお金はきちんと返済されるか」を判断します。この章では審査通過率を高めるために押さえるべき3つのポイントを解説します。
①コンセプト:なぜ「先生のクリニック」でなければならないのか?
事業計画書の冒頭で明確にすべきなのが、開業するクリニックの存在意義です。金融機関の担当者に「このクリニックが地域に必要だ」と納得してもらえるコンセプトを提示することが、審査通過の第一歩となります。
開業予定地の医療ニーズを具体的なデータで示すことが重要です。人口構成や高齢化率、周辺の医療機関の診療科目や診療時間などを調査し、どのような医療サービスが不足しているかを明らかにします。その上で、自分のクリニックがその隙間をどう埋めるのかを説明しましょう。
医師としての専門性や経歴も、コンセプトの説得力を高める要素です。大学病院や総合病院で培った経験、専門医資格や学会活動などを通じて身につけた技術や知識が、開業後の診療にどう活かされるかを具体的に記述します。
さらに単なる医療サービスの提供にとどまらず、クリニックが目指す独自の価値を打ち出すことも効果的です。予防医療に力を入れる、在宅医療との連携を強化する、患者とのコミュニケーションを重視した診療スタイルを確立するなど、他のクリニックとの差別化ポイントを明確にしましょう。
②収支計画:金融機関が「これなら貸せる」と納得する数字の作り方
収支計画は事業計画書の中で最も精査される部分です。楽観的すぎる見通しや根拠の乏しい数字は、審査担当者の信頼を損なう原因となります。
開業初年度から3~5年程度の収支予測を作成しますが、重要なのは現実的で保守的な数字を提示することです。患者数の見込みは周辺の類似クリニックの実績や地域の人口データをもとに算出し、開業直後は低めに見積もるのが賢明です。徐々に患者数が増加するシナリオを描くことで計画の信憑性が高まります。
収入の見込みだけでなく、支出の項目も詳細に記載する必要があります。
- 人件費
- 家賃
- 医療機器のリース料や減価償却費
- 医薬品や医療材料の仕入れ
- 水道光熱費
- 広告宣伝費
上記6点など、クリニック運営に必要なコストを漏れなく計上しましょう。特に初年度は想定外の出費が発生する可能性を考慮して、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。
借入金の返済計画も、収支計画と整合性が取れていなければなりません。毎月の返済額が、クリニックの収入から無理なく捻出できることを数字で示します。返済が始まる時期や返済期間、金利などを踏まえてキャッシュフローが健全に保たれることを証明しましょう。
③経歴と自己資金:「この先生になら任せられる」と思わせる2大要素
金融機関が融資を決定する際、事業計画の妥当性と同じくらい重視するのが開業する医師の人物像です。医師としての実績と自己資金の準備状況は、その判断材料として特に重要視されます。
医師としての経歴は単に勤務先や勤務年数を列挙するだけでは不十分です。
- どのような症例を扱ってきたか
- どのくらいの患者数を診療してきたか
- 手術や専門的な処置の経験はどの程度あるか
上記の実績を具体的に記載しましょう。専門医資格や認定医資格、学会発表や論文執筆の実績なども、医師としての信頼性を高める材料となります。
自己資金の額は融資審査における最も客観的な評価基準の一つです。一般的に開業資金総額の3割程度の自己資金があると、審査に有利とされています。自己資金が多ければ多いほど開業への本気度と計画性が伝わり、金融機関からの信頼を得やすくなります。
自己資金の出所についても、説明を求められることがあります。給与からの貯蓄であることを示す通帳のコピーなどを準備しておくと、審査がスムーズに進みます。親族からの援助や贈与がある場合も、その経緯を明確にしておきましょう。
また、個人の信用情報も審査の対象となります。過去にローンの延滞やクレジットカードの支払い遅延がないか、金融機関は信用情報機関を通じて確認します。開業を考え始めた段階から個人の信用情報を良好に保つ意識を持つことが大切です。
【完全ロードマップ】融資申込から着金までの6ステップ

医師の開業融資は申し込みから実際に資金が手元に届くまで、通常3~6ヶ月程度の期間を要します。スムーズに進めるためには各ステップで何をすべきかを理解しておくことが重要です。この章では融資申込から着金までの具体的な流れを解説します。
ステップ1:事業計画書・資金繰り表の作成
融資申込の第一歩は綿密な事業計画書と資金繰り表の作成です。この書類は金融機関に提出する最も重要な資料であり、審査の土台となります。
事業計画書には
- 開業の動機や目的
- 診療科目や診療方針
- ターゲットとする患者層
- 競合分析
- マーケティング戦略
- 収支計画
上記6点などの内容を盛り込みます。特に収支計画は開業から3~5年間の売上予測、経費の見積もり、利益計画を月単位または年単位で詳細に記載する必要があります。
資金繰り表は現金の流れを時系列で把握するための表です。収入と支出のタイミングを明確にし、毎月の現金残高が把握できるように作成します。開業初期は収入が少なく支出が多いため、どの時点で資金が不足するリスクがあるかを事前に把握し、適切な借入額を算出するためにも必須の資料です。
ステップ2:金融機関の選定と事前相談
事業計画書が完成したら、次は融資を申し込む金融機関を選定します。前述したように、日本政策金融公庫、銀行、信用金庫、医師会など複数の選択肢があるので、自分の状況に最適な借入先を見極めることが大切です。
金融機関を選ぶ際にはいきなり正式な申し込みをするのではなく、まずは事前相談を行うことをおすすめします。担当者に開業計画の概要を説明し、融資の可能性や必要な書類、審査のポイントなどについて情報を収集しましょう。
複数の金融機関と相談することで融資条件や金利、審査基準の違いを比較検討できます。また、1つの金融機関だけでは必要な資金をすべて調達できない場合、複数の借入先を組み合わせることも視野に入れておきましょう。
ステップ3:必要書類の準備と申込
金融機関が決まったら融資申込に必要な書類を準備します。一般的に求められる書類は
- 事業計画書
- 資金繰り表
- 履歴書や職務経歴書
- 医師免許証のコピー
- 専門医資格証のコピー
- 所得証明書や源泉徴収票
- 預金通帳のコピー
- 印鑑証明書
- 住民票
上記9点などが基本的な提出物となります。開業予定地が決まっている場合は賃貸借契約書や物件の図面なども求められることがあります。
不動産を担保に入れる場合は登記簿謄本や固定資産税評価証明書も必要です。また、医療機器の見積書や内装工事の見積書など開業資金の内訳を示す資料も用意しておくと、審査がスムーズに進みます。
書類の準備ができたら金融機関の窓口で申込を行います。このタイミングで改めて担当者に開業計画の詳細を説明し、融資の目的や返済計画について十分に伝えましょう。
ステップ4:担当者との面談
書類審査が進むと金融機関の担当者との面談が設定されます。この面談は書類だけでは伝わらない開業への熱意や人柄、医師としての実力を直接アピールできる重要な機会です。
面談では開業の動機や目指す医療の姿、開業予定地を選んだ理由、収支計画の根拠などについて質問されます。事業計画書の内容を深く理解し、自分の言葉で説明できるように準備しておくことが大切です。
担当者は医師の人物像や経営者としての資質も見ています。誠実で信頼できる人物かどうか、困難に直面しても粘り強く経営を続けられる覚悟があるかどうかを、会話の中から判断します。
ステップ5:審査結果の通知
面談後、金融機関内で正式な審査が行われます。審査には通常2週間から1ヶ月程度の時間がかかりますが、金融機関や融資額によってはそれ以上かかることもあります。
審査での評価項目
上記5点などが総合的に評価されます。
審査を通過すると、金融機関から融資承認の通知が届きます。この通知には融資額、金利、返済期間、返済方法、担保や保証人の条件などが明記されています。内容をよく確認し、不明な点があれば担当者に質問しましょう。
万が一、審査が不承認となった場合でも、その理由を丁寧に聞き取り、改善点を明確にすることが大切です。事業計画書の見直しや自己資金の増額など対策を講じた上で、別の金融機関に申し込むことも検討できます。
ステップ6:金銭消費貸借契約と融資実行
融資が承認されたら金銭消費貸借契約を締結します。この契約書には借入額、金利、返済期間、返済方法、期限の利益喪失条項などが詳細に記載されていますので、内容を十分に理解した上で署名・押印しましょう。
契約時には印鑑証明書や実印が必要となります。また、担保設定や保証契約がある場合はその手続きも同時に行われます。不動産を担保に入れる場合は抵当権設定登記の手続きが必要となり、司法書士が関与することもあります。
すべての契約手続きが完了すると融資が実行され、指定した口座に資金が振り込まれます。融資実行のタイミングは開業準備のスケジュールと合わせて調整することが可能ですので、担当者と事前に相談しておきましょう。
【実例から学ぶ】金融機関との融資面談、必勝準備リスト

融資の面談は書類審査だけでは判断しきれない部分を補う重要な機会です。実際に融資を勝ち取った医師たちは、どのような準備をして面談に臨んだのでしょうか。この章では成功事例から学ぶ具体的な準備のポイントを紹介します。
成功した医師が面談に持参した3つの補足資料
事業計画書や収支計画は基本的な提出書類ですが、審査を有利に進めるために追加の補足資料を用意しておくことが効果的です。実際に融資を獲得した医師たちが共通して持参していた資料を見ていきましょう。
一つ目は開業予定地の詳細な市場調査資料です。単なる人口統計だけでなく
- 半径1キロ、3キロ、5キロ圏内の人口構成
- 年齢別の人口分布
- 世帯数
- 競合クリニックの数と診療科目
- 最寄り駅からの距離や駐車場の有無
上記5点を地図や表にまとめたものです。このような資料があると開業地の選定が綿密な調査に基づいていることが伝わり、担当者の信頼を得やすくなります。
二つ目は自分の診療実績を示す具体的なデータです。
- 勤務医時代の外来患者数や手術件数
- 専門的な治療の経験症例数
上記2点を数字で示すことで、医師としての実力を客観的に証明できます。学会発表や論文のリストがあれば、それも資料として持参しましょう。専門性の高さや最新の医療知識を持っていることが審査においてプラスの評価につながります。
三つ目は開業後の集患戦略を具体化した資料です。
- ホームページのイメージ図
- チラシやパンフレットのデザイン案
- SNSやオンライン予約システムの活用計画
上記3点のような、どのようにして患者を集めるかを視覚的に示します。医療機関の競争が激しくなる中、マーケティング戦略の有無は経営の成否を分ける要素となるため、金融機関もこの点を重視します。
この補足資料は面談時に口頭で説明するだけでなく、実際に手に取って見てもらえる形で用意しておくことがポイントです。A4サイズにまとめたクリアファイルに入れて持参すれば、担当者にも好印象を与えられるでしょう。
医師の開業融資に関するよくある質問5選

医師が開業融資を検討する際、多くの方が同じような疑問を抱きます。この章では特に頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 連帯保証人や担保は必ず必要ですか?
連帯保証人や担保の要否は金融機関や融資制度によって異なります。日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合、一定の条件を満たせば無担保・無保証人での借入が可能です。具体的には自己資金が創業資金総額の10分の1以上あることなどが条件となります。
一方、銀行からの融資では担保や保証人を求められるケースが多い傾向にあります。特に高額な借入を希望する場合、不動産担保や経営者本人の連帯保証が必要となることが一般的です。ただし、信用保証協会の保証制度を利用することで個人保証の負担を軽減できる場合もあります。
医師会や医師信用組合の開業ローンでは組合員であることから比較的有利な条件が提示されることがあり、担保や保証人の条件が緩和されるケースも見られます。
無担保・無保証人での融資を希望する場合は自己資金の割合を高める、事業計画書の質を向上させるなどの工夫が必要です。複数の金融機関と相談し、自分の状況に最も適した条件を見つけることをおすすめします。
Q2. 融資を断られた場合、次の手はありますか?
融資が断られても、開業を諦める必要はありません。なぜ審査に通らなかったのか、その理由を金融機関に丁寧に確認しましょう。多くの場合、事業計画書の内容、自己資金の不足、収支計画の甘さなど具体的な改善点が見えてきます。
指摘された問題点を改善した上で、再度申し込むことも可能です。事業計画書をより詳細に作り直す、自己資金を増やす期間を設ける、開業予定地を再検討するなど、具体的な対策を講じてから再挑戦しましょう。
また、断られた金融機関とは別の借入先を探すことも有効な選択肢です。審査基準は金融機関によって異なるため、日本政策金融公庫で断られても、地方銀行や信用金庫では承認される可能性があります。複数の金融機関に同時に相談することで選択肢を広げられます。
どうしても融資が難しい場合は、開業形態の見直しも検討しましょう。いきなり独立開業するのではなく、まずは継承開業や分院長としての勤務から始めることで初期投資を抑えつつ経営経験を積むという選択肢もあります。
Q3. 返済期間は何年で組むのがベストですか?
返済期間の設定はクリニックの資金繰りと総返済額のバランスを考慮して決定する必要があります。一般的に医師の開業融資では10年から15年程度の返済期間が多く選ばれています。
返済期間を長く設定すれば、毎月の返済額が少なくなり、開業初期の資金繰りに余裕が生まれます。特に患者数が安定するまでに時間がかかることが予想される場合、長期の返済期間は経営を安定させる助けとなります。ただし、返済期間が長いほど支払う利息の総額は増加するため、長期的なコスト負担は大きくなります。
逆に、返済期間を短くすれば利息負担を抑えられますが、毎月の返済額が大きくなるため、経営が軌道に乗る前に資金繰りが厳しくなるリスクがあります。
Q4. 運転資金だけの融資も可能ですか?
運転資金のみの融資も可能です。開業時の設備投資は自己資金や親族からの援助で賄えるものの、開業後の経営が安定するまでの運転資金が不安という医師は少なくありません。
運転資金とは人件費、家賃、医薬品や医療材料の仕入れ、水道光熱費、広告宣伝費など、日常の診療活動に必要な費用を指します。開業直後は患者数が少なく収入が安定しないため、数ヶ月分の運転資金を確保しておくことが経営の安定につながります。
日本政策金融公庫や銀行では運転資金に特化した融資メニューも用意されています。ただし、運転資金融資では設備投資融資以上に事業計画の妥当性が問われます。なぜその金額の運転資金が必要なのか、どのような収支計画で返済していくのかを、具体的に説明できるようにしておきましょう。
一般的には開業後3~6ヶ月分の運転資金を借入で確保しておくことが推奨されます。この期間があれば患者数が徐々に増加し、収支が安定するまでの時間的余裕を持つことができます。
Q5. 融資の相談はどのタイミングで行うべきですか?
融資の相談は開業を決意した段階でできるだけ早く始めることをおすすめします。理想としては、開業予定日の1年から半年前には金融機関との接触を開始したいところです。
早期に相談を始めるメリットは十分な準備期間を確保できることです。金融機関の担当者から、事業計画書の改善点や必要な書類についてアドバイスを受けながら、じっくりと準備を進められます。また、複数の金融機関と比較検討する時間的余裕も生まれます。
開業予定地が決まっていない段階でも融資相談は可能です。むしろ物件を決める前に、どの程度の融資が受けられそうかを把握しておくことで身の丈に合った開業計画を立てることができます。
ただし、あまりに早すぎる相談は具体性に欠けるため金融機関側も本格的な検討ができません。開業の時期や診療科目、おおよその資金規模などが固まった段階で相談に行くのが現実的です。
また、融資の申し込みから実行までには通常3~6ヶ月程度かかります。開業日に合わせて資金が手元に届くよう、逆算してスケジュールを組むことが大切です。物件の契約や医療機器の発注には支払いのタイミングがありますので、資金需要の時期を見極めた上で融資実行日を調整しましょう。
融資の不安から解放される「第3の選択肢」とは?

開業を目指す多くの医師が融資という形での資金調達を検討します。しかし、実際に借入を行うことには、避けられないリスクと精神的な負担が伴います。この章では融資に頼らない別の選択肢についてもご紹介します。
開業医の約8割が抱える「借入返済」という重圧
開業医の多くが、数千万円から億単位の借入を抱えながらクリニック経営をスタートさせます。毎月の返済は診療収入の安定性に関わらず継続するため、大きなプレッシャーとなります。
特に開業初期は患者数が思うように伸びず、計画していた収入が得られないケースも少なくありません。そんな中でも、借入の返済は待ってくれません。人件費や家賃などの固定費に加えて、返済負担が経営を圧迫し理想としていた医療の提供に集中できなくなる医師もいます。
また、借入がある限り個人保証や担保の責任から逃れることはできません。万が一、経営が立ち行かなくなった場合、個人資産まで失うリスクを背負い続けることになります。この不安を抱えながら、日々の診療に向き合わなければならない状況は医師としての本来のパフォーマンスを発揮する妨げになりかねません。
資金調達・経営の不安なく、院長として理想の医療を実現しませんか?
融資による独立開業以外にも、医師としてのキャリアを実現する道があります。医療法人での分院長や幹部医師としてのポジションです。
医療法人の分院長として働く場合、経営リスクや資金調達の負担を負うことなく、院長としての裁量権を持ちながら医療に専念できます。診療方針や治療方針については一定の自由度が与えられ、スタッフの採用や育成にも関わることができます。独立開業に近い充実感を得ながら、借入返済や資金繰りのプレッシャーからは解放されるというメリットがあります。
また、医療法人が提供する経営サポートを受けられることも大きな利点です。
- 集患のためのマーケティング
- 経理や労務管理
- スタッフ教育
上記3点などのクリニック運営に必要な機能が組織として整っているため、医師は診療に集中できる環境が整っています。
将来的に独立開業を目指す場合でも、分院長としての経営経験は大きな財産となります。集患のノウハウ、スタッフマネジメント、収支管理など、実践的なスキルを身につけた上で独立すれば、成功確率は格段に高まるでしょう。
まずは無料キャリア相談で、あなたの可能性をお聞かせください

融資を受けて独立開業するか、それとも別の形でキャリアを築くか。この選択は医師としての人生を左右する重要な決断です。どちらが正解ということはなく、価値観や人生設計、目指す医療の形によって最適な選択肢は変わります。
相談したからといって、必ず転職や就職をしなければならないわけではありません。情報収集の一環として、気軽に相談してみることがあなたのキャリアにとって新たな可能性を開くきっかけになるかもしれません。