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「失敗したくない」を、ひとりで抱えないでいい。

── 開業を考える、すべての医師へ。坂口海雲が話す、これからの医師のキャリアのこと
「開業したい気持ちはある。でも、本当にうまくやれるだろうか」――そんなふうに、ふと立ち止まる先生は、きっと少なくないはずです。医療法人笑顔会 代表理事長の坂口海雲さんは、外科医として臨床に立った後、30歳のころ「自分はこの先、現場の医師としてだけ生きていくのだろうか」と、改めて自分に問いかけたといいます。そこから、医療法人の経営という、もうひとつの医師の働き方へ。現在は複数のクリニックと介護施設を持つ医療法人を率いながら、東京とインドネシアでフランチャイズの飲食事業も手がけています。
今日は、開業を考えはじめている医師の方や、これからのキャリアにちょっと迷いを感じている方に、坂口さんが普段どんなふうに考えているのか、ゆっくりお話を伺ってみました。
※インタビュアーは、笑顔会のメディアづくりに伴走している伊藤です。

■ PROFILE|坂口 海雲(さかぐち みくも)
医療法人笑顔会 代表理事長/1984年生まれ。外科医として臨床経験を積んだのち、30歳ごろに自身のキャリアを再設計し、医療法人の経営に軸足を移す。現在は内科・外科クリニック、介護施設を含む医療法人笑顔会グループの運営を統括するほか、東京2店舗・インドネシア1店舗のラーメン店をフランチャイズで展開。医療と異業種、両方の現場で経営を行う「経営する医師」として、若手医師の独立支援、地域クリニックの事業承継にも取り組んでいる。
第1章|30歳のころ、ふと立ち止まって考えたこと
── ITO:坂口さんは、ずっと現場で手を動かし続ける医師――というイメージとは、少し違うキャリアを歩まれていますよね。いったん立ち止まって自分のこれからを考えた、そのきっかけはどんなことだったのでしょうか。
── 坂口:ちょうど30歳のときでした。子どもが生まれたばかりで、「このまま自分は、ずっと現場で手術を続けていくのかな」と、初めてちゃんと自分に問いかけたんです。そのときに出てきた答えが、「どうやら、そうではないみたいだ」でした。
── 坂口:きっかけになったエピソードもあって、ある患者さんとの出会いがすごく大きかったんです。詳しい話は伏せますが、その方と関わる中で、「自分はどうやら、相手の立場から物事を見たがるタイプなんだな」と、改めて気づきました。自分の手技を磨くことそのものより、「目の前の患者さんが、結果として一番よくなる道は何か」を考えていたい。そんな自分の輪郭が、ぼんやり見えてきた時期でした。
── ITO:その「相手の立場から見る」という感覚は、医師として診療する時間と、経営者として組織を考える時間とで、同じ場所からつながっているように感じます。
── 坂口:そうですね、つながっています。というより、「ああ、自分の中ではつながっているんだな」と気づいたのが、ちょうど30歳前後だったのかもしれません。
第2章|「自分が、必ずしも治さなくていい」というやさしさ
── ITO:医師の方から「顧客視点」という言葉が出てくるのは、ちょっと新鮮でした。
── 坂口:「顧客」という言葉だと少し硬く聞こえてしまうかもしれませんが、私のなかではすごくシンプルで、「目の前の患者さんが良くなることが、いちばん大事」という、それだけの話なんです。極端なことを言えば、自分より経験を重ねた医師に任せたほうがその方を救えるなら、お任せしたほうがいい。「絶対に、自分の手で診なきゃ」とは思っていなくて。
── 坂口:職人気質の先生方は、自分の技術にちゃんと誇りを持っているからこそ、自分で診たいと思う。それはとても素敵なことで、現場の医療を支えている力だと思っています。ただ、自分の場合は、ある時期から「自分の技術をどんどん上げていくこと」そのものに、喜びの軸を置かなくなったんです。それよりも、「チーム全体で、目の前の方にとって良い結果を作る」ほうに、自然と心が動くようになりました。
── ITO:その感覚があるから、いろんな専門の医師を迎え入れて「みんなで価値を届ける」という形に、無理がないんですね。
── 坂口:そうですね。「自分よりその分野に詳しい人がいるなら、その人が気持ちよく働ける場をつくる」――この考え方が、笑顔会の根っこにある気がします。
第3章|医師のホンネは「成功したい」より「失敗したくない」
── ITO:笑顔会のコラムやメディアを拝見していると、「派手な成功事例」というよりも、「ここに気をつけておけば大丈夫」というような、寄り添う情報が多い印象を受けます。
── 坂口:医師という職業のホンネをひと言で言ってしまうと、「成功したい」じゃなくて「失敗したくない」なんですよね。
── 坂口:手術にしても、「誰よりも早く終える」「誰よりも見栄え良く仕上げる」みたいな競争は、実はそんなに多くなくて。いちばん大切にされているのは、「ミスをしないこと」です。診断を外さない、患者さんに合った治療を選ぶ、合併症を防ぐ――こういうところに、医師の真ん中の評価軸がある気がします。
── 坂口:開業もまったく同じで、多くの先生方は「派手に成功したい」というより、「とにかく失敗だけはしたくない」という気持ちで独立を考えていると思うんです。だから私たちが情報を出すときも、煌びやかな成功談を並べるよりは、「事前に知っておくと安心なこと」「先回りで気づけるとラクになること」をお話するほうが、結果として届きやすいんじゃないかなと感じています。
── ITO:その「失敗したくない」気持ちにそっと寄り添うことが、いちばんのサポートになる、ということですね。
── 坂口:はい。だからまず、開業を考えている先生方には、「不安は、一人で抱え込まなくていいですよ」というところから、お伝えしたいです。
第4章|ノウハウは、自由に持って帰っていい
── ITO:笑顔会では「独立支援」を掲げていらっしゃいますが、これは坂口さんご自身のキャリアから生まれた仕組みなのでしょうか。
── 坂口:そうですね。これまで自分が積み重ねてきた経営の考え方や、日々の運営で見えてきたコツのようなものは、まるっと持って帰っていただいて構わないんです。必要なときには、開業に向けた具体的なサポートも一緒にやらせてもらっています。
── 坂口:実際に今年も、「いずれは自分のクリニックを持ちたいので、笑顔会のように事業をいくつか持っている法人で、一度ちゃんと経験を積ませてください」と来てくれた医師が、2名いるんですよ。彼らにはグループのクリニックを実際に任せて、運営の流れや、日々起こるちょっとした判断を、肌で感じてもらっています。
独立後の道は、その人らしく選んでいい
笑顔会で経験を積んだ後の進路は、その人の希望や、ご家族のことも含めて、ゆっくり選んでもらえるようにしています。たとえば、
- そのまま笑顔会のクリニックを引き継いで、自分の城として開業する
- 身につけた運営ノウハウを持って、地元に戻り、地域に根ざした自院を開く
- 笑顔会グループの中で経営側に回り、複数のクリニックを支える側にまわる
どの道を選んだとしても、ここで積み上げた経験や、出会った人とのつながりは、必ず次の場所で活きてきます。「医師としての将来の選択肢を、こちらで狭めてしまわない」――私が独立支援というかたちで大事にしているのは、そういう距離感です。
第5章|医師でもあり、経営者でもある――坂口の根っこにあるもの
── ITO:医師であり、医療法人の代表であり、飲食の経営者でもある。いろんな顔を行き来するなかで、ご自身の中で大切にしている軸はありますか。
── 坂口:すごくシンプルに言うと、「目の前の方に、ちゃんと価値を届けられているかな?」というところですね。医療なら患者さん、飲食ならお客さま、ビジネスのお取引ならクライアント企業。相手は事業ごとに変わっていきますが、「その人にとっていいものを届けたい」という気持ちは、ずっと共通しています。
── 坂口:そう考えると、必ずしも自分自身が、すべての価値を生み出さなくてもいいなと思えてくるんです。自分より、その分野でずっと深く積み上げてきた人がいるなら、その人が気持ちよく力を発揮できる場をつくるほうが、結果として、受け取り手の方にとっても、一緒に働いてくれる仲間にとっても、いい時間になりやすい。自分の役割は、「いっしょに働く専門家の良さを見つけて、その人が伸びる場をつくっていくこと」だと思っています。自分も現場で手を動かしてきた時間があるから、専門家のちょっとした良さに気づける――そこが、この仕事における自分のいる場所、なのかもしれません。
第6章|「150の笑顔の砦を築く」――地域の灯を、次の世代へつなぐ
── ITO:笑顔会のロードマップに「150の笑顔の砦を築く」という言葉があって、スケールの大きさにちょっとびっくりしました。地域医療の後継者問題への思いも、ここに重なっているのでしょうか。
── 坂口:はい、かなり大きな部分を占めています。日本の診療所で働く先生方の平均年齢は、すでに60歳を超えていて※、これからも、後を継ぐ方が見つからないままのクリニックは、少しずつ増えていくと思います。これは医師側の問題であると同時に、その地域に暮らす方々にとっての、「いつもの病院」がなくなってしまう、という日常の問題でもあるんですよね。
※出典:厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」。同統計では、診療所に従事する医師の平均年齢は60.4歳と公表されており、年々上昇傾向にあります。(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/index.html)
── 坂口:笑顔会としては、大きく2つの方向から、その地域の灯を絶やさないお手伝いをしたいと考えています。
- 事業承継・M&Aを通じて、地域のクリニックや介護施設の続きを担っていく
- これから独立を考える若い医師に、運営ノウハウと、挑戦できる場をひらいておく
── 坂口:クリニックを「閉める」のではなく、「次の方にバトンを渡す」かたちに変えていく。医師のキャリアも、「現場の医療」だけではなく、「経営」「事業承継」という新しい選択肢まで、ひらいていく。これが、「150の笑顔の砦」というビジョンに込めている気持ちです。
第7章|開業を考えている、すべての医師へ
── ITO:最後に、いままさに開業を考えている医師の方、これからのキャリアにちょっと迷いを感じている方に、メッセージをいただけますか。
── 坂口:開業って、医師にとって本当に大きな決断ですよね。「失敗したくない」という気持ちが先に立ってしまうのは、もう、自然なことだと思います。だからこそ、ぜんぶを一人で抱えこまないで、すでに複数のクリニックや法人を運営してきた人間と、一度ゆっくり話してみてほしいんです。
── 坂口:話したうえで、「やっぱり自分のやりたい道とは違うな」と感じたら、それで全然OKです。逆に、「ここで少し経験を積んでから、自分の道に進んでみたい」と思っていただけたら、笑顔会の中には、ゆっくり学べる場と、相談できる仲間がいます。私自身もまだ、医師としても経営者としても、ずっと道の途中なので、これからも同じ景色を見ながら話せる場を、コツコツ増やしていきたいなと思っています。
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※ 本記事は、医療法第6条の5に基づく医療広告ガイドラインに配慮し、特定の治療効果の保証や比較優良表現を避けて構成しています。掲載情報は取材日(2026年4月時点)のものです。