咳喘息の診断方法とは?医師が行う検査と他の病気との見分け方

「この咳、本当に咳喘息なのかな?」「病院で何を調べるのだろう?」咳喘息かもしれないと思っても、どんな検査をするのか分からず、受診をためらっている方もいるのではないでしょうか?
今回は、咳喘息の診断方法について詳しく説明していきます。医師はどのように症状を確認し、どんな検査を行うのか。また、他の病気との見分け方についても分かりやすく解説していくので検査や診断に不安をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人
坂口 海雲

大阪市立大学医学部を卒業後、大阪市立大学循環器内科に入局。ベルランド総合病院、大阪市立大学病院への勤務を経て、福島吉野スマイル内科・循環器内科を開院。Dr.AGAクリニックの総院長も就任中。

所属:日本内科学会日本循環器学会、医学博士(循環器内科)

1. 診断の流れ:医師は何を確認するの?

咳喘息の診断は、まず詳しい問診から始まります。その後、必要に応じて様々な検査を行い、総合的に判断していくといった流れです。

【問診で確認すること】

医師は以下のような点を細かく確認します。

  • いつから咳が続いているか
  • どんな時に咳が出やすいか
  • 1日のうちでいつ症状が強くなるか
  • 今までに似たような症状があったか
  • 家族に喘息やアレルギーの方がいるか

特に、3週間以上続く咳があり、夜間に症状が悪化するという特徴があれば、咳喘息を疑うきっかけとなります。問診の後、医師は聴診(胸の音を聞く検査)を行います。咳喘息の場合、一般的な喘息と違って異常な音(ゼーゼーという音)は聞こえにくいことが特徴です。しかし、他の病気の可能性を調べるためにも、しっかりと検査を行います。 では次に、具体的にどのような検査が行われるのか、詳しく見ていきましょう。

2. どんな検査をするの?検査の種類と内容

咳喘息の診断では、いくつかの検査を組み合わせて行います。一つ一つの検査を詳しく見ていきましょう。

【呼吸機能検査】

まず行われることが多いのが呼吸機能検査です。この検査では、大きく息を吸ったり吐いたりして、肺の働きを調べます。 検査の方法は簡単です。

  1. 専用の機械に向かって座ります
  2. マウスピースをくわえます
  3. 指示に従って息を吸ったり吐いたりします

痛みはまったくありませんので、ご安心ください。

【気道過敏性検査】

この検査は、気道がどれくらい敏感になっているかを調べます。咳喘息では、気道が刺激に敏感に反応する傾向があるため、この検査が重要になります。 ただし、この検査は必要な場合にのみ行われます。必要に応じて大きな呼吸器内科の病院へご紹介します。検査中に咳が出たり、少し息苦しくなったりすることがありますが、医師や看護師が常に様子を見ていますので心配ありません。

【血液検査】

必要に応じて血液検査も行います。これは主に以下の内容を調べるために行われます。

  • アレルギーの有無
  • 炎症の程度
  • 他の病気の可能性

【画像検査】

必要に応じてレントゲン検査やCT検査を行うことがあります。これらの検査は主に、咳の原因となる他の病気がないかを確認するために行われます。

・レントゲン検査
胸の状態を大まかに見る検査です。肺炎などの病気がないかを確認します。検査時間は数分と短く、痛みもありません。

・CT検査
レントゲンよりも詳しく胸の中を調べる検査です。気管支の状態や、副鼻腔炎などの有無をより詳細に確認することができます。

これらの画像検査は、他の病気の可能性を除外するために重要な役割を果たします。というのも、長引く咳の原因は咳喘息以外にもいくつかあるからです。
では次に、咳喘息と間違えやすい病気について、それぞれの特徴を見ていきましょう。  

3. 咳喘息と間違えやすい病気の特徴

長引く咳の原因は、咳喘息以外にもいくつかあります。医師は問診や検査を通じて、以下のような病気との違いを慎重に見極めていくことが重要です。

【風邪やウイルス性気管支炎】

一般的な風邪による咳との大きな違いは、症状の続く期間です。

  • 風邪の特徴
    •  1~2週間程度で改善
    •  鼻水や熱などの症状も出る
    •  徐々に良くなっていく
  • 咳喘息の特徴
    • 3週間以上咳が続く
    • 夜間に悪化する
    • 他の症状はあまり出ない

【逆流性食道炎(GERD)】

胃酸が食道に逆流することで起こる病気です。咳の症状が似ているため、注意が必要です。

  • 逆流性食道炎の特徴
    • 食後に症状が悪化
    • 胸やけを伴うことが多い
    • 横になると症状が出やすい
    • お腹を圧迫する姿勢で悪化

【副鼻腔炎(慢性鼻副鼻腔炎)】

蓄膿症とも呼ばれる病気です。鼻からのどに流れ落ちる粘液(後鼻漏)が咳を引き起こします。

  • 副鼻腔炎の特徴
    • 鼻づまりや鼻水がある
    • のどに粘液が流れる感覚
    • 痰が絡んだような咳が出る

4. 診断の確定:医師はどのように判断するの?

咳喘息の診断は、一つの検査だけで確定するわけではありません。医師は問診から始まり、様々な検査結果を総合的に判断して診断を確定させていきます。まず、症状の特徴を詳しく確認します。3週間以上続く咳があり、特に夜間に悪化する傾向があるかどうかは、重要な判断材料です。また、からからとした乾いた咳が特徴的かどうかも確認していきます。 次に、各種検査の結果を評価します。呼吸機能検査や気道過敏性検査の結果から気道の状態を把握し、血液検査やレントゲン検査の結果も含めて総合的に判断していきます。

【診断で重要な3つのポイント】

  • 典型的な症状があるか
  • 検査結果で特徴的な所見があるか
  • 他の病気の可能性が除外できるか

時には、治療を試しながら診断を確定させていくこともあります。例えば、咳喘息の治療薬を使用して症状が改善するかどうかを見ることで、診断の確実性を高めていくのです。

まとめ:診断から治療開始までの流れを理解しよう

ここまで、咳喘息の診断方法について詳しく見てきました。最後に重要なポイントを整理しておきましょう。 咳喘息の診断は、問診から始まり、必要な検査を重ねながら慎重に進められるのです。そして、医師は以下のような点を総合的に判断して診断を確定させます。

  • 症状の特徴(特に夜間の咳や3週間以上続く咳)
  • 各種検査の結果
  • 他の病気の可能性

診察を受ける際は、以下のような情報を医師に伝えることが大切です。

  • いつから症状が始まったのか
  • どんな時に症状が悪化するのか
  • これまでどんな治療を受けてきたのか

心配な方は、遠慮なく医師に相談してください。咳喘息は適切な診断と治療で、症状を改善することができます。

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