咳喘息はなぜ起きる?原因と症状の関係を徹底解説!

「風邪は治ったはずなのに、まだ咳が続いている…」 「花粉の季節になると咳が止まらなくなる…」 このような経験はありませんか?実は咳喘息には、それぞれの人に特有のきっかけがあります。ウイルス感染がきっかけの人もいれば、アレルギーが原因だったりその人の体質や生活環境によっても、原因は様々に変化します。

この記事では、咳喘息を引き起こす様々な原因と、その原因によって異なる症状の特徴について、詳しく解説していきます。自分の咳喘息の原因を知ることで、より効果的な対策が見えてくるので是非最後までご覧ください。

この記事を書いた人
坂口 海雲

大阪市立大学医学部を卒業後、大阪市立大学循環器内科に入局。ベルランド総合病院、大阪市立大学病院への勤務を経て、福島吉野スマイル内科・循環器内科を開院。Dr.AGAクリニックの総院長も就任中。

所属:日本内科学会日本循環器学会、医学博士(循環器内科)

1. 咳喘息の3つの原因とは?タイプ別に解説

咳喘息の原因は、大きく分けて「ウイルス感染」「アレルギー反応」「環境要因」の3つです。それぞれの原因によって、症状の出方や経過が異なってきます。まずは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

【感染後咳喘息】 

風邪やインフルエンザなどのウイルス感染をきっかけに発症する咳喘息です。感染後咳喘息と呼ばれ、最も多い原因の一つとなっています。通常の風邪は1~2週間で治りますが、感染後咳喘息の場合は、風邪の症状が治まった後も咳だけが長引きます。

【アレルギー性咳喘息】

 花粉やハウスダスト(家の中のホコリ)などが原因で起こる咳喘息です。このタイプは、もともとアレルギー体質の方に多く見られます。特徴的なのは、原因となるアレルギー物質との接触で症状が出始め、その物質を避けることで症状が改善することです。

【環境因子による咳喘息】 

私たちの周りの環境が原因となって起こる咳喘息です。タバコの煙、大気汚染物質、乾燥した空気、寒冷刺激など、様々な環境要因が引き金となります。このタイプは、環境の改善により比較的早く症状が良くなるのが特徴です。

このように、咳喘息の原因は人によって異なります。そして、その原因の違いによって、体の中で起こる反応や症状の現れ方も変わってくるのです。

2. それぞれの原因で起こる体の変化

咳喘息は原因が違っても、「咳が出る」という同じような症状が出ます。しかし、体の中で起きている変化は、原因によって大きく異なるのです。なぜ同じような咳の症状になるのか、体の中での仕組みを見ていきましょう。

【感染後の体の変化】 

風邪やインフルエンザのウイルスは、気道の粘膜を傷つけてしまいます。通常なら時間とともに傷ついた粘膜は回復しますが、感染後咳喘息では粘膜の回復が遅れ、敏感な状態が続きます。
例えるなら、風邪で荒れた喉が「ひりひり」するような状態です。この敏感になった粘膜が、普段なら気にならないような刺激にも反応して咳が出てしまうのです。特に夜間に症状が悪化するのが特徴で、これは体を横にすることで気道が刺激されやすくなるためです。

【アレルギーによる体の変化】 

アレルギー性咳喘息では、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質に反応して、気道に炎症が起こります。これは、花粉症の人の鼻の粘膜が腫れるのと似た反応です。気道の粘膜が腫れると、次のような変化が起こります。

  1. 粘膜が腫れて気道が狭くなる
  2. 過剰な粘液が分泌される
  3. 咳の反射が起こりやすくなる

このため、アレルギー物質に触れると急速に症状が悪化し、触れなくなると徐々に改善するという特徴があります。

【環境要因による体の変化】 

環境因子による咳喘息は、タバコの煙や急激な温度変化、乾燥した空気などの外的刺激が直接気道を刺激することで起こります。健康な人の気道には、外からの刺激から体を守る仕組みが備わっています。しかし、環境因子による咳喘息の方の気道は、この防御機能が過敏になっています。わずかな環境の変化でも敏感に反応してしまい、咳という形で現れるのです。
例えば、寒い外気を吸い込んだ時を考えてみましょう。通常、私たちの気道は吸い込んだ空気を温め、適度な湿度に調整します。しかし、咳喘息の方の場合、この温度変化自体が刺激となって咳が誘発されてしまうのです。

3. 原因を知ることの大切さ!予防と治療のポイント

咳喘息には様々な原因があり、それぞれで体の中の反応も異なります。では、なぜ自分の咳喘息の原因を知ることが大切なのでしょうか。

【より効果的な対策のために】 

咳喘息の原因がわかれば、その原因に合わせた対策を取ることができます。例えば、

  • 感染後咳喘息の場合は、回復期の気道を守るケア
  • アレルギー性の場合は、原因となる物質を避ける工夫
  • 環境要因の場合は、生活環境の改善

 原因を知ることで、症状が悪化する前に予防的な対策を取ることも可能になります。特に気をつけるべき状況や環境がわかれば、事前に準備することができるのです。

【早期発見・早期治療のために】

 咳喘息の原因を知ることは、適切な治療のタイミングを判断する助けにもなります。原因によって症状の進行の仕方が異なるため、「いつ医師に相談すべきか」の判断材料になるのです。特に以下のような場合は、医師への相談をお勧めします。

  • 感染後の咳が3週間以上続く
  • アレルギー症状と一緒に咳が続く
  • 環境の改善を試みても症状が良くならない

4. まとめ:自分の咳喘息を理解しよう

咳喘息の原因は大きく3つあり、それぞれで体の中での反応が異なることがわかりました。

  • ウイルス感染後の気道の過敏反応
  • アレルギー物質による気道の炎症
  • 環境刺激への過剰な反応

しかし、一人の患者さんが複数の原因を持っていることも少なくありません。例えば、もともとアレルギー体質の方が風邪をきっかけに咳喘息を発症したり、環境要因に敏感な方がアレルギー反応も起こしやすかったりします。そのため、自分の咳喘息がどの原因で起きているのかを正確に知るためには、医師による適切な診断が重要です。症状の特徴や経過を医師に詳しく伝えることで、より正確な診断と効果的な治療につながります。

次回は、咳喘息のリスク要因についてより詳しく解説します。どのような人が咳喘息になりやすいのか、年齢や体質、生活習慣との関係について詳しくご紹介しますのでぜひご覧ください。

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