突然ですが、あなたは自分の脈拍を意識したことはありますか?私たちの体は、通常1分間に60〜100回の適切な心拍数を保っています。
しかし、体調や環境によって、常に一定のリズムを刻んでいるわけではありません。日本心臓財団の調査によると、成人の約10%が何らかの不整脈を経験しているといわれています。
「最近、ドキドキすることが多い」「なんだか脈が遅い気がする」と感じたら、それは「徐脈」や「頻脈」のサインかもしれません。
この記事では、徐脈と頻脈の違い、それぞれの症状や原因、さらには日常生活での注意点まで詳しく解説していきます。
目次
ドキドキ?それとも脈が遅い?徐脈と頻脈、その違いを知って不安を解消!
私たちの心臓は、通常1分間に50〜100回のペースで拍動していますが、このリズムが遅くなりすぎたり速くなりすぎたりすることがあります。それが「徐脈」と「頻脈」です。
徐脈(じょみゃく)とは? 徐脈は、心拍数が1分間に50回未満に低下した状態を指します。運動選手や若い健康な人では、安静時に40回程度まで低下しても問題ないことがありますが、一般的には50回未満を徐脈と考えます。
頻脈(ひんみゃく)とは? 頻脈は、心拍数が1分間に100回を超えて上昇した状態を指します。運動中や緊張時などに一時的に100回を超えるのは正常ですが、安静時にも関わらず持続的に100回を超える場合は頻脈と判断されます。
重要なのは、徐脈や頻脈が必ずしも病気というわけではないということです。年齢、体調、運動の有無などによって、正常範囲内で脈拍は変動します。
例えば
- 若い人や運動選手:安静時の脈が遅めでも健康な場合が多い
- 高齢者:加齢とともに脈が遅くなる傾向がある
- 運動中:一時的に脈が速くなるのは正常
- 睡眠中:脈が遅くなるのは自然な現象
ただし、日常生活に支障をきたすような症状がある場合や、急激な変化がある場合は注意が必要です。
なぜ起こる?徐脈・頻脈を引き起こす原因と危険因子を解説
徐脈と頻脈は、様々な要因によって引き起こされます。ここでは、それぞれの主な原因と危険因子について解説します。
徐脈の主な原因
- 加齢:年を重ねると、心臓の刺激伝導系の機能が低下することがあります。
- 心臓の病気:洞不全症候群、房室ブロックなどの伝導障害。
- 薬の副作用:ベータ遮断薬、ジギタリスなどの心臓病治療薬。
- 自律神経の乱れ:過度の疲労やストレス。
- 電解質異常:カリウムやカルシウムのバランスの乱れ。
頻脈の主な原因
- ストレスや不安:交感神経が優位になり、心拍数が上昇。
- 運動や発熱:身体活動や体温上昇に伴う生理的反応。
- カフェインや刺激物の過剰摂取:コーヒー、エナジードリンクなど。
- 貧血:酸素を運ぶ赤血球が不足し、心臓に負担がかかる。
- 甲状腺機能亢進症:代謝が亢進し、心拍数が上がる。
- 心臓の病気:心房細動、心房粗動などの不整脈。
日本循環器学会ガイドラインによると、40歳以上の日本人の約1%が徐脈性不整脈を、約2%が頻脈性不整脈を有しているとされています。また、年齢とともにその割合は増加し、70歳以上では徐脈性不整脈が約5%、頻脈性不整脈が約7%に達するという報告もあるのです。
重要なのは、これらの原因の多くが生活習慣と密接に関連しているという点です。適切な生活習慣の改善や定期的な健康チェックにより、多くのケースで予防や早期発見が可能になります。
こんな症状は要注意!徐脈・頻脈が引き起こす体のサインとは?
徐脈や頻脈が引き起こす体のサインを知ることは、早期発見・早期対応をするに辺り非常に大切です。ここでは、徐脈と頻脈それぞれの主な症状を解説します。
徐脈で現れやすい症状
- めまい・ふらつき:脳への血流が不十分になることで起こります。
- 疲労感・倦怠感:体全体に十分な血液が行き渡らないため、常に疲れを感じます。
- 息切れ:少し動いただけで息苦しさを感じることがあります。
- 失神・意識消失:重度の場合、一時的に意識を失うことがあります。
- 集中力の低下:脳への酸素供給が不足し、思考力が低下することも。
頻脈で現れやすい症状
- 動悸:心臓がドキドキする感覚が続きます。
- 息苦しさ:心臓が速く打つことで、呼吸が浅く速くなることがあります。
- 胸の痛みや圧迫感:心臓に負担がかかることで、胸に不快感を感じます。
- 不安感・焦燥感:体の異変を感じることで精神的な不安が生じます。
- 発汗:自律神経の乱れにより、急に汗をかくことがあります。
- めまい:心臓の拍出量が減少し、脳への血流が不安定になることで起こります。
症状チェックリスト
以下の症状が持続的にある場合は、徐脈や頻脈の可能性があります。当てはまる項目にチェックを入れてみましょう。
3つ以上当てはまる場合は、一度医療機関での検査を検討しましょう。
ただし、これらの症状は他の病気でも現れる可能性があります。自己判断せず、心配な場合は必ず医師に相談することが大切です。
早期発見が鍵!徐脈・頻脈の検査と治療法、日常生活での予防策
徐脈や頻脈は早期発見・早期治療が重要です。ここでは、検査方法から治療法、そして日常生活での予防策までを詳しく解説します。
自分でできる脈拍チェック方法
簡単な自己チェック方法を身につけることで、異常の早期発見につながります。
-
手首の脈拍を測る方法
- 人差し指と中指で手首の親指側にある動脈を軽く押さえます。
- 15秒間脈拍を数え、その数を4倍します(1分間の脈拍数を算出)。
- 朝起きた時や安静時に測定し、60〜100回/分の範囲内かを確認します。
- 注意点:運動後や緊張時は一時的に脈が速くなるので、安静時に測ることが大切です。
医療機関での検査方法
より詳細な検査が必要な場合、以下のような検査が行われます。
- 心電図検査:心臓の電気的活動を記録し、不整脈の種類や程度を判断します。
- ホルター心電図:24時間以上、継続的に心電図を記録し、日常生活中の不整脈を捉えます。
- 運動負荷心電図:運動中の心臓の動きを観察し、潜在的な問題を見つけます。
- 血液検査:甲状腺機能や電解質のバランスをチェックします。
徐脈・頻脈の主な治療法
症状や原因に応じて、適切な治療が選択されます。
- 薬物療法:抗不整脈薬や、原因となる疾患の治療薬を用います。
- ペースメーカー:徐脈に対して、心拍数を適切に保つ装置を体内に埋め込みます。
- カテーテルアブレーション:頻脈の原因となる心筋組織を焼灼する治療法です。
日常生活での予防策
生活習慣の改善により、多くのケースで徐脈・頻脈のリスクを低減できます。
- バランスの良い食事:塩分や脂肪の摂取を控え、野菜や果物を積極的に摂取。
- 適度な運動:ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行う。
- 十分な睡眠:質の良い睡眠をとり、体を休ませる。
- ストレス管理:瞑想やヨガなどでリラックスする時間を設ける。
- 禁煙・節酒:喫煙や過度の飲酒は心臓に負担をかけるため控える。
自己診断の限界と医療専門家への相談の重要性
自己チェックは有用ですが、限界があります。以下の場合は必ず医療機関を受診しましょう。
- 症状が突然現れたり、急激に悪化した場合
- 自覚症状が持続的にある場合
- 生活に支障をきたす症状がある場合
- 50歳以上で、定期的な心臓チェックを受けていない場合
早期発見・早期治療が、重症化を防ぐ鍵となります。心配な症状がある場合は、ためらわずに医療専門家に相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
徐脈と頻脈について、読者の皆さまからよく寄せられる質問にお答えします。
- Q1: 運動選手の脈拍が遅いのはなぜですか?
- A: 定期的に運動をしている人、特にアスリートは、心臓が効率よく働くようになるため、安静時の脈拍が遅くなることがあります。これは「運動性徐脈」と呼ばれ、通常は問題ありません。
- Q2: 妊娠中に頻脈になりやすいのは本当ですか?
- A: はい、その通りです。妊娠中は血液量が増加し、心臓に負担がかかるため、脈が速くなりやすくなります。ただし、過度の頻脈が続く場合は医師に相談してください。
- Q3: コーヒーの摂取は頻脈の原因になりますか?
- A: カフェインには脈拍を上げる作用があります。過度なコーヒーの摂取は一時的な頻脈を引き起こす可能性があります。感受性には個人差があるので、自分の体質に合わせた適量を心がけましょう。
- Q4: 徐脈や頻脈は遺伝しますか?
- A: 一部の不整脈には遺伝的要因があることが知られています。家族歴がある場合は、定期的な検査を受けることをお勧めします。
- Q5: ストレスと不整脈には関係がありますか?
- A: はい、深い関係があります。ストレスは自律神経系に影響を与え、心拍数の変動を引き起こす可能性があります。ストレス管理は心臓の健康維持に重要です。
まとめ
徐脈や頻脈は、多くの場合、生活習慣の改善で予防や改善が可能です。そのため、日々の生活の中で、自分の脈拍に注意を払う習慣をつけることが大切です。また、年に一度は健康診断を受けるだけでなく、気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談してください。
自分の体に向き合い、心臓の声に耳を傾けることで、より健康的な毎日を送ることができます。この記事で学んだ知識を日々の生活に活かし、心臓の健康を大切にしていきましょう。
お問い合わせ >>
お電話でのお問い合わせ >>
TEL.06-6147-4400お電話でのお問い合わせ >>
TEL.06-6147-4400