動脈硬化とは血管が硬くなる現象です

動脈硬化を放っておくと、認知症や寝たきりになりやすくなります

動脈硬化って?

血管はゴムホースによく例えられます。新品のゴムホースと長い間使ったゴムホースを想像してみてください。どちらが、しなやかでやわらかいでしょうか?新品のゴムホースですよね。
血管も同じです。年齢を重ねると、血管も劣化して硬くなってきます。
血管には種類が2つあって、それぞれ、動脈および静脈と名前がついています。そして、血管が硬くなる現象はほとんど動脈にしか起こらないので、われわれ血管の専門家はこの現象を「動脈硬化」と呼んでいるのです。

動脈硬化はどうしていけないの?

これも、ゴムホースで考えてみるとわかりやすいです。新品のゴムホースと劣化の進んだゴムホース、どちらの方がうまく水を送り届けることができるでしょう?
もちろん、新品のゴムホースですよね。
劣化したゴムホースは、少し力が加わると裂けてしまいます。また、内側がざらついてゴミがたまっているので、うまく水を送り届けることができません。これは人体に例えると、血管が裂けて出血したり、臓器にうまく血液が行かなくなる状態と同じです。なんとなくダメな感じがしてきますよね。

影響の出やすい臓器は?

動脈硬化はすべての臓器に悪影響を与えますが、特に影響の出やすい臓器が3つあります。
それは、脳、心臓、腎臓です。順にみていきましょう。

認知症や寝たきりになってしまいます

脳はとりわけ影響の出やすい臓器です。体重の2%しか重さがないくせに、全血流の15%も必要とする臓器。常に新鮮な血液を欲しています。
こんな大食漢の臓器に劣化した血管で血液を供給し続けたらどうなるでしょうか?脳細胞の劣化が早く進みます。わかりやすく言うと、早く認知症になったり、寝たきりになったりする危険が出てくるのです。

突然死することも

次は、心臓です。心臓はとても大事な臓器で、止まると死んでしまいます。動脈硬化が進んで血管が劣化すると、血管の中が詰まってしまうことがあります。心臓でこれが起こるとどうなるでしょう?
心臓は血液を送り出す臓器ですが、心臓自体も血液を必要としています。その血液を運んでいるのは、とりもなおさず心臓の血管なのです。
もしこれが詰まったら、心臓は動けなくなってしまいます。つまり、死んでしまうのです。

悪のスパイラル

最後に、腎臓です。腎臓はおしっこを作っている臓器です。どうやっておしっこを作っているかというと、とても細い血管の中を通る血液をろ過しておしっこを作っているのです。
このとても細い血管が劣化すると、うまくおしっこを作れません。それでも腎臓はおしっこを作らないといけないので、必死に頑張ります。どうすると思いますか?
答えは、細い血管の中を通る血液の圧力を上げようとするのです。そう、つまり血圧を上げようと頑張るのです。
後でお話ししますが、高血圧は動脈硬化の主な原因の一つです。血圧が上がる → 動脈硬化が進む → 腎臓が血圧を上げる → さらに動脈硬化が進む。まさに悪循環です。

動脈硬化の原因は?

まずは、先ほどもお話しした高血圧です。また、ゴムホースを思い出してください。 高血圧ということは、ゴムホースがパンパンに張っている状態と同じです。常に力がかかり続けたゴムホースとほとんど力がかからなかったゴムホース、どちらの方が劣化が早いでしょう?答えは言うまでもありませんよね。だから、高血圧は動脈硬化の1番の原因なのです。
次に、脂質異常症です。わかりやすく言うと、悪玉コレステロールが高い状態です。LDLをはじめとした悪玉コレステロールは、血管のごみの成分です。内側からペタペタとへばりついて行きます。さらに悪いことに、へばりつかれた血管はそれに対抗しようとして硬くなっていくのです。
詳しくは脂質異常症をご覧ください

最後は、糖尿病です。糖尿病は血液の中の糖分濃度が上がる病気です。糖分は臓器のエネルギー源として素晴らしくいいものなのですが、実は毒でもあるのです。糖分は濃度が高いと血管の内側の壁を硬くします。つまり、動脈硬化が進むのです。 他にも、喫煙、肥満、高尿酸血症などさまざまなものが動脈硬化の原因となります。

どうしたらいいの?

答えは簡単です。動脈硬化の原因となるような病気や生活習慣を良くしていけばいいのです。ただ、言うは易し行うは難しです。なぜか?
1番の原因は、動脈硬化そのものの症状が分かりにくいということでしょう。
動脈硬化が進んでも、べつにすぐにどこかが痛くなるわけでも、ご飯がおいしくなくなるわけでも、寝覚めが悪くなるわけでもありません。ただ、確実に認知症や寝たきり、突然死の危険性は増しているのです。

血管年齢を測りましょう

当院は、血管の状態を検査するPASESAや頸動脈エコーをすぐに行うことができます。動脈硬化の状態を見える化することで、自分の血管の状態を実感することができます。「ちょっと血管心配だな」と思う方は、お気軽にお声掛けください。